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建築の力で文化を伝える

私たち綜企画設計は、2025年4月に開幕する大阪・関西万博のハンガリーパビリオンの設計・監理に取り組んでいます。
このプロジェクトは、ハンガリーの建設会社Bayer Construct Zrtと、静岡県の建設会社株式会社橋本組とともに進める国際協働プロジェクトです。
異なる文化や建築スタイルが交わる舞台で、建築を通じてハンガリー文化をどう表現するかーー私たちにとって大きな挑戦となっています。

外観パース1 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
外観パース2 (c)2024 Zoboki Design And Architecture

パビリオンタイプAとは?

万博で採用されているパビリオンタイプAは、国ごとに独自の計画とデザインが行える「敷地渡し方式」の建築物で、建物そのものが展示物として機能し、来場者に国の技術や文化を直接伝える仕組みになっています。
各国が技術や創造性を発信する万博の華とも称される存在であるこのパビリオンにおいて、私たちはハンガリーらしさを建築でどう表現するかを探りながら、文化とデザインの融合に挑戦しています。

ハンガリーパビリオンの概要

ハンガリーパビリオンは地上3階建ての建物で、3階にはコミュニティフロアがあり、2階のレストランでは本場の伝統的なハンガリー料理、隣接するワインバーではハンガリー各地のワインが楽しめる予定です。
展示エリアの最後には、ハンガリーのお土産品や民芸品などが購入できるギフトショップも設けられています。
万博会場内を散策する来場者の多くがハンガリーパビリオンの前を通ることになるため、ユニークな外観を通じて多くの関心を集めることが期待されます。

ハンガリーパビリオンの設計コンセプトと構成

ハンガリーパビリオンは、カルパチア盆地の神秘的な森を散策しているようなランドスケープをテーマにデザインされ、来場者がハンガリー民謡の世界を探訪する体験型施設となっています。
施設全体は、以下の3つの機能で構成されています。

イメージスケッチ1
コンセプトイメージスケッチ1
イメージスケッチ2
コンセプトイメージスケッチ2

ビジターユニット:訪問者がハンガリーの文化や歴史を深く体感できるエリア

エキシビジョンスペース
ハンガリーの歴史や文化を紹介し、視覚と触覚を通じて理解を深める展示を提供します。
イマーシブドーム
音楽・照明・パフォーマーによる演出で、ハンガリー民謡の世界に入り込んだかのような幻想的な体験と没入感を得られます。

ビジネスユニット:ハンガリーと日本の経済交流を促進するためのスペース

VIPフロア
政治や経済交流のためのプライベートエリアでは、会議や交流イベントに対応可能です。
レストランフロア
ハンガリーの伝統的な料理を味わえるレストランが設置され、食を通じて文化を体験できます。

サービスユニット:施設全体の運営と管理を支えるエリア

監視室・事務室・機械室
パビリオンの安全と円滑な運営を確保し、建物の設備を支える技術的なバックヤードです。

ハンガリーパビリオンは、文化・ビジネスの視点を通じて、ハンガリーと日本の架け橋となる役割を果たします。

  • 内間パース1 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
  • 内間パース2 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
  • 内間パース3 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
  • 内間パース4 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
  • 内間パース1 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
    内間パース2 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
  • 内間パース3 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
    内間パース4 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
ハンガリー・パビリオンサイト

ハンガリーと日本の架け橋となるパビリオンを目指して

大阪・関西万博ハンガリー館プロジェクト始動!

大阪・関西万博ハンガリー館プロジェクトの第一歩となるWEB会議が行われました。
この日は、プロジェクトの鼓動が初めて鳴り響いた記念すべき日でした。
まもなく、ハンガリー政府担当者とマスターアーキテクトが来日し、大阪で2日間にわたり活発な議論が行われました。
文化や考え方の違いが交差する中、課題を共有し、解決策を模索する姿は、新しい世界を切り開く旅の始まりを思わせるものでした。
※マスターアーキテクト:プロジェクト全体のデザイン、設計を統括する設計者のこと。

初期デザイン1
初期デザイン1
初期デザイン2
初期デザイン2

タイトなスケジュールと厳しい制約に立ち向かう

プロジェクト最大の課題は「時間」です。
博覧会開催までのカウントダウンが進む中、通常の工程では間に合わないタイトなスケジュールが課されました。
加えて、建設に必要な材料や技術は国内調達が必須であり、日本の建築基準法や万博ガイドラインをクリアすることも求められました。
このような厳しい条件の中、プロジェクトは進行しました。

ハンガリーのデザイン理念と日本の技術の融合

マスターアーキテクトであるハンガリーの設計会社ZDA(Zoboki Design & Architecture)への技術コンサルティング業務が開始しました。
ハンガリー独自のデザイン理念を尊重しつつ、日本の技術で実現可能な形に変換する作業が進められています。
言葉や文化の違いという壁に直面しながらも、対話を重ねることで互いの理解を深め、確かな架け橋が築かれました。

多分野のプロフェッショナルが結集し、プロジェクトの実現へ

プロジェクトマネージャーを中心に、通訳、BIMマネージャー、意匠・構造・設備デザインの専門家、さらにはサインデザインやランドスケープ、ドーム木製リング構造の専門家、建築・電気音響やエキシビション映像・AV、舞台照明・機構など多分野のプロフェッショナルが結集しました。
異なる知識とスキルが融合し、共通の目標に向けて力強く進んでいます。

外観パース3 (c)2024 Zoboki Design And Architecture
外観パース4 (c)2024 Zoboki Design And Architecture

ハンガリーの文化を世界に発信

数々の困難を乗り越える原動力は、ひとりひとりの情熱と大阪・関西万博でハンガリーの文化と誇りを世界に示すという共通の強い決意です。
このストーリーは今も紡がれ続け、2025年、誰もみたことのない舞台が世界に姿を現す日を目指しています。

プロジェクトタイムラインの紹介

たこの助1

名前:四十肩之上たこの助
綜企画入社歴:33年
出身:大阪市西区の鉄板の上
キャッチフレーズ:
わたしはたこ焼き、されどたこ焼き。
そこに意味を求めたら負け。

こんにちは!
わたしはハンガリービリオンプロジェクトの、綜企画公認PR大使兼ゆるキャラ、
大阪出身の「四十肩之上たこの助」です。
どうぞよろしくお願いします!
肩に乗せてもらっているのは、綜企画のプロジェクトリーダーやメンバーたちで、いわゆるわたしの「中の人」ってやつです。
ちなみに、わたしの「中」といってもタコじゃないので、そこはスルーしてください笑
それではこれから、プロジェクトの進捗をキックオフから紹介していきますね!

ハンガリー政府代表・マスターアーキテクトとの設計MTG

プロジェクトタイムライン プロジェクトタイムライン

最初はどんなメンバーが来るのか、一緒に働くのはどんな感じなのかドキドキでしたが、ハンガリーのみなさんはとてもフレンドリーでお互いに意見を出し合いながら、お互いを尊重して話を進めることができました。
言葉の壁はあったものの、想いが通じ合う瞬間もあり嬉しかったです!

たこの助2

大阪・関西万博 博覧会協会国際局との打ち合わせ

プロジェクトタイムライン プロジェクトタイムライン

博覧会協会を交え、設計・施工を含むプロジェクト全体の課題を共有したところ、少しずつ解決の糸口が見えてきました。

たこの助2

マスターアーキテクトとの毎週4時間程度のWEB-MTGを開催し、基本設計段階の技術コンサルティングを開始

実施設計、博覧会協会へ基本設計段階・実施設計段階承認申請、仮設許可申請、建築確認申請手続きを開始

株式会社橋本組(静岡県本社の建設会社)へ設計プレゼンテーションを行い、意見交換を実施
ハンガリー政府代表関係者を交えた株式会社橋本組と株式会社綜企画設計でのデザインビルドとしての取り組みが本格的に始動
※デザインビルド方式:設計と施工を一元化する手法のこと。

プロジェクトタイムライン プロジェクトタイムライン

ハンガリーパビリオンプロジェクトの役者がようやく揃って、ほっとした瞬間でした。

たこの助2

大阪・関西万博の開催予定地である夢洲で合同現地踏査

プロジェクトタイムライン プロジェクトタイムライン

はじめて現地に足を踏み入れたとき、周辺はところどころ工事が進んでいる程度で、ほとんど何もない状態でしたが、期待と興奮で胸が高鳴りました!

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大阪豊國神社へ安全祈願を行い、夢洲で起工式

プロジェクトタイムライン プロジェクトタイムライン

この頃は、確認申請やEXPOガイドライン承認申請の許可取得に向けて本当にギリギリの状況で、どうにか無事に承認がおりるように、みんなで祈る毎日でした。

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工事着手

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無事に各種申請手続きが完了し、工事に着手できるようになったときは、プロジェクト関係者全員が心からほっとした瞬間でした。

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使用材料承認立会い(サンプリング)

プロジェクトタイムライン プロジェクトタイムライン

全ての使用材料のサンプルを一つずつクライアントに確認してもらう必要があり、非常に重要なプロセスであるため、準備にとても時間がかかりました。
ですが、皆さんと協力しながら進めることができて、本当に感謝しています。
現場の皆様、ありがとうございました!

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建物上棟段階での現場見学会と納涼会

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Bayer Construct Zrtの皆様、橋本組の皆様をはじめ、多くの方々にご参加いただきました!
鉄骨が組み上がった姿は、とても迫力があり感動しました!

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ハンガリー大使館での記者発表会

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国の威信、将来の日本とのビジネス展開をかけた取り組みが十分に伝わる素晴らしいプロモーションでした!
わたし達も期待に応えるためにベストを尽くし、プロジェクトを成功させます!

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マスターアーキテクトのご紹介

zdalogo

本プロジェクトの基本設計は、ハンガリーの建築デザイン事務所 ZDA - Zoboki Design & Architecture が担当しました。
ZDAは、1997年に設立され、ブダペストを拠点に国際的に活動する建築・都市デザイン事務所です。ハンガリーおよび中東欧地域を代表する建築事務所の一つとして、高い評価を受けています。
ZDAの設計アプローチは、「人」を中心に据えた協働的かつ創造的なプロセスに基づいており、機能と形が自然に調和する建築を生み出します。ZDAの理念は、建築が単なる空間の提供にとどまらず、周囲の環境や利用者との間に強い相互作用を生み出すことです。また、建築は人々の実用的・美的なニーズを満たすだけでなく、地域社会の視覚的・空間的な文化を育む存在であるべきだと考えています。
ZDAは、複合型文化施設、企業の本社ビル、オフィスビル、高級住宅、都市開発、歴史的建造物の改修 など、幅広いプロジェクトを手がけています。特に、多機能でフレキシブルな空間設計や、多目的ホールのデザインにおいて卓越した実績を誇ります。
代表的なプロジェクトには、ブダペストの 「MÜPA(ハンガリー芸術宮殿)」、深圳市の 「南山文化センター」、ブダペストの 「国立舞踊劇場」、そして 「ハンガリー国立オペラハウス」 などがあります。
近年、ZDAは舞台芸術コミュニティの主要メンバー(アーティスト、プロデューサー、ディレクター、技術者など)と密接に連携し、多目的ホールや芸術施設の未来のニーズを深く探求しています。この取り組みにより、建築の柔軟性や可変性が一層進化し、技術的にも卓越した水準を達成しました。さらに、デザインスタディや国際的なコンペティションにおいても優れた成果を上げています。

パレスオブアーツ